Ninja 250から念願の4気筒へ——CBR650R 2023年式 納車インプレ

2024年4月29日、ホンダドリーム名古屋中央に愛車を引き取りに行った。マットバリスティックブラックメタリックの2023年式CBR650R。納車直前に弟へ譲ったNinja 250の後継として、ずっと探し続けてきた4気筒バイクがようやく手元に来た。

購入にこぎつけるまで、奥さんへの根回しにはかなりの時間を要した。許可をもらえたのは自分の熱意だけではなく、何より奥さんの懐の深さあってのことだと思っている。CB400スーパーフォアの生産終了、ZX-4RRとZX-6Rとの価格比較を経てCBR650Rに決めた経緯と、乗り出してわかったことを書いておく。

Ninja 250を手放してCBR650Rに乗り換えた背景

Ninja 250はいいバイクだった。軽いし取り回しも楽で、街中での扱いやすさは申し分なかった。それでも乗り続けるうちに、4気筒エンジンへの興味がじわじわと湧いてきた。

正確に言うと、「排気量を上げたい」というより「4気筒に乗りたい」が先にあった。2気筒の鼓動感も悪くはないけど、4気筒特有の高回転の滑らかさをどうしても体験してみたかった。ただ4気筒は1気筒あたりの排気量が小さくなる分、そのまま250ccで4気筒にするとトルクがかなり細くなる。必然的に排気量は上がるかな、というのが正直なところだ。

大型免許を取ったのも、すぐ乗り換えるつもりではなかった。将来の選択肢を広げておきたい、その程度の動機だったはずが、気づいたらわりとすぐに乗り換えてしまっていた。CBR650Rの購入が決まり、納車日が確定してから弟にNinja 250を譲った。直前まで乗れたのはよかったと思う。

CBR650R

CBR650Rに決まるまでの経緯

4気筒に乗りたいという前提はあったが、車種を一本に絞るまでにはいくつかの候補を経た。スタイルはネイキッドかフルカウルで考えていた。アメリカン系やアドベンチャー系は最初から頭になく、スポーティーな見た目が前提だった。

CBR600RRとデイトナ660を見送った理由

フルカウルで4気筒というとCBR600RRも候補に挙がった。ただ、あれはガチのスーパースポーツだ。乗車姿勢がかなり前傾で、ツーリング込みの普段使いで長く乗り続けられるか不安があった。毎週末サーキットに行くような使い方なら話は別だが、日常的に乗ることを考えると体への負担が引っかかった。

トライアンフのデイトナ660も気になっていた。3気筒エンジン特有のキャラクターは魅力的で、かなり悩んだ。ただそもそも、4気筒フィーリングを体験したくてここまで来たという原点がある。3気筒も面白そうだが、まず当初の目的を果たそうと判断した。

リッタークラスを外した理由

GSXをはじめとするリッタークラスも頭をよぎった。ただ、街乗りでは開けられないという話をよく聞く。アクセルを常に意識しながら走るより、気持ちよく回せる排気量の方が日常的に楽しめると考え、ミドルクラスに絞った。

CB400スーパーフォアが選択肢から消えた理由

4気筒といえば真っ先に頭に浮かんだのがCB400スーパーフォアだった。国内4気筒400ccの定番で、長年乗り継いでいるライダーも多い。ただ、2022年10月末に生産終了となり、それが中古価格に直撃していた。2023年時点の平均中古相場は約116万円で、新車で買えないどころか中古の方が現行CBR650Rより高い状況だった。

ZX-4RRとZX-6Rを見送った理由

次に目が向いたのがカワサキのZX-4RRだ。2023年7月に発売された新型で、399ccながら最高出力77PSというスペックは話題を集めた。ただメーカー希望小売価格は115.5万円で、CBR650Rの107.8万円より7.7万円高い。400ccが650ccより高いという逆転現象に加え、せっかく大型免許を取ったのにあえて400ccを選ぶというのも引っかかり、見送った。

ZX-6Rは最後まで悩んだ。2024年モデルとして刷新された現行型は前モデルの中古より見た目が好みで、できれば新車で乗りたかった。ただ価格は156.2万円。CBR650Rとの差額が約48万円あり、その差を埋める理由が見つからなかった。

CBR650Rが条件を満たしていた

車種排気量新車価格(税込)備考
CB400スーパーフォア399cc生産終了(中古相場約116万円〜)中古でもCBR650Rより高い
Ninja ZX-4RR399cc115.5万円CBR650Rより高い・大型免許が活かせない
Ninja ZX-6R636cc156.2万円CBR650Rより約48万円高く予算オーバー
CBR650R649cc107.8万円選択

4気筒の大型バイクを新車で100万円台前半で買えるというのが、CBR650Rの強みだった。他の選択肢ではこの条件が揃わず、最終的にCBR650Rに決めた。

なぜ2023年式を選んだか——E-Clutchと外観の好み

購入を決めた2024年春、CBR650Rの2024年モデルに関する情報がすでに出回っていた。変更内容は外観の刷新とHonda E-Clutchの搭載とされていた。E-Clutchはクラッチ操作を自動制御するホンダ独自の機構だ。初物の機構にはそれなりのリスクがつきものだと考えており、あえて選ぶ理由がなかった。

当時は2024年モデル全車にE-Clutchが搭載されるのではという噂もあった。E-Clutchなしで購入するなら2023年式しかないと判断した。蓋を開けてみると2024年モデルには搭載・非搭載の両方が用意されていたが、購入時にその情報はなかった。

外観については、フロントは2023年式の方が好みだ。2023年式のフロントフェイスは昔のCBR1000RRを思わせるシャープな顔つきで、フルカウルスポーツらしい雰囲気がある。2024年式はCBR400Rに近い顔つきになり、それが個人的には引っかかった。テールは逆で2024年式の方が好みだが、そちらはいずれ社外品で解決しようと思っている。

ホンダ正規ディーラーで買って得したこと

購入はホンダドリーム名古屋中央に決めた。正規ディーラーということで、納車整備や購入後のメンテナンス対応に安心感があった。キャンペーンのタイミングとも重なり、想定より条件よく購入できた。

購入時にオプション7万円分をサービスしてもらえるキャンペーンを実施しており、ETCとクイックシフターを取り付けた。ETCは高速を走るなら最初から欲しい装備で、納車時点で使える状態になっていたのはよかった。

クイックシフターはアップシフトのみ対応で、クラッチを握らずにシフトアップできる。選んだ理由はシンプルで、YouTubeで聴いたシフトアップ時のエンジン音が気になったからだ。4気筒を高回転まで引っ張りながら次々シフトアップしていくあの音を、自分の車体で体験してみたかった。

キャンペーンとは別に、タイヤへの窒素ガス充填もしてもらった。正直なところ劇的な効果を期待しているわけではないが、せっかくの新車ということでやってみた。総支払額は114万円で、7万円相当のオプションはキャンペーンで無償提供されている。

納車日に感じた4気筒の手応え

まだそれほど距離を走っていない段階での印象ではあるが、乗り味はいい。走り出した瞬間から、Ninja 250の並列2気筒とは明らかに違うフィーリングがあった。アクセルを開けると回転が上がるにつれてエンジンが滑らかに吹け上がり、高回転に向かうほど4気筒らしい伸びやかさが増していく。ずっと体験したかったものが、ようやく手元に来た。

一方で、低回転のトルクは思っていたより細かった。教習車のNC750は745ccの2気筒で低回転からトルクがしっかり出るバイクだっただけに、余計に差を感じたのかもしれない。ただ650ccの4気筒なので、細いといっても乗りやすさは十分ある。

ポジションはフルカウルにしては攻めすぎていない。CBR600RRを見送った理由のひとつが前傾姿勢への不安だったが、CBR650Rはそこまでシビアな設定ではなかった。長距離を走り込んでみないと確かなことは言えないが、少なくとも納車日の段階で体への負担を強く感じる場面はなかった。

乗り出して気になった2点

テールデザインの物足りなさ

フロントマスクはスポーツバイクらしい精悍な顔つきで気に入っているが、テールは少し物足りない印象がある。2024年式のテールの方が好みだったが、そちらはE-Clutchをめぐる事情があって選べなかった。純正テールがやや野暮ったく見えてしまうのは自覚しており、いずれ社外品に変えて解決するつもりだ。

6,500〜11,000rpm帯の振動

走っていて気になるのが、6,500〜11,000rpm付近の振動だ。この帯域では他の回転数に比べてハンドルやフットペグへの振動が大きくなる。CBR650F時代から続く既知の特性とされており、整備や調整で解消できるものではない。常用回転域ではなく加速時に通過するか高速巡航中に感じる程度だが、長距離での影響はまだ確認できていない。

燃費と、CBR650Rが向く人・向かない場面

燃費は走り方によって変わるが、今のところ22〜24km/L程度で推移している。バイクに乗る理由に燃費は入っていないので特に気にしていないが、数字として悪くはない。

低回転よりも高回転域の伸びを楽しみたい人に向いているバイクだ。NC750のようなどっしりしたトルク感を期待すると物足りなく感じる可能性がある。6,500〜11,000rpm帯の振動は既知の特性で、解消できないことを前提に検討したほうがいい。

4気筒の大型バイクを新車で買える価格帯にこだわるなら、CBR650Rは現状有力な選択肢だ。2023年式マットバリスティックブラックメタリックは107.8万円。テールデザインへの許容と振動帯域の存在を理解したうえで検討するといい。

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